今週の『仮面ライダーガヴ』第38話「憎しみの向こう側」は、タイトル通り“憎しみ”をキーワードに物語が大きくうねりました。
とりわけ絆斗(ヴァレン)の葛藤と、ジープの暴走が同時進行で描かれ、終始ヒリつく展開。
それでいてアニマル和菓子という可愛いモチーフが絶妙な緩急を生んでいたのが印象的です。
ガヴ第38話「憎しみの向こう側」和菓子屋「あんどう」に吹き込む波風
はぴぱれが経営再建を請け負う和菓子屋。
その職人・健二こそ、18年前に絆斗の母をさらったグラニュートだった――という衝撃の事実が発覚します。
幸果の健二さん悪い人なのかな?の問いかけに「悪いに決まってんだろ!」と絆斗が怒鳴るシーン、思わずこちらも息をのんでしまいました。
憎しみを抑え切れない絆斗の目は、これまでで一番荒んで見えたかもしれません。
一方、ストマック社ではニエルブがジープを“黒ガヴ”に改造しようと暗躍。
鏡越しに双子のシータへ呼びかけるジープの独白は、兄妹への屈折した愛情とショウマへの対抗心がにじみ出て胸が痛い……。
中盤:謝罪と猶予、そして覚悟
健二は18年前のかつての罪を懺悔し、「命で償わせてほしい」と土下座。
絆斗は“母を奪われた自分”と“寛人から健二を奪う自分”の狭間で揺れ動きます。
必死にアニマル和菓子を完成させる時間だけ欲しいと頼み込む健二に、絆斗が「新作の和菓子が完成するまで待つ」と告げる場面――ついに復讐を遂げる時が来たはずなのに・・・
その表情に激しい葛藤が現れていました!
また、同じころ、デンテの工房ではラキアがベルトを修理。
手のひらを返すようにプリンで態度を変えるデンテに、思わず「このおじさん憎めないな」とクスッとしたのは私だけじゃないはずです。
クライマックス①:黒ガヴ誕生
改造を受け入れたジープが「ビターガヴ バキバキスティックフォーム」に初変身。
スティックポテトを乱射する狂気のアクションは、まさに“ミイラ×ジャンクフード”。
ポテトスティックが壁に突き刺さり、ガヴが貼り付けられるカット――お菓子モチーフなのに絵面は完全にホラー。
制作陣の振り幅に脱帽です。
しかしマスターモードのスピードとオーバーモードのパワーで逆転。
鉄塔頂上のワイヤーカットは、CGかと疑うほどリアルな高所撮影で手汗が止まりませんでした。
クライマックス②:絆斗の決断
川辺で対峙したヴァレンと健二(グラニュート体)。
必殺技をわざと外し「グラニュートのお前はもう死んだ」と告げる絆斗――その裏には、自分と同じ喪失を寛人に味わわせたくないという切なる思いがありました。
母を描いた落書きを破り捨てる絆斗のアップ。
ここでBGMがスッと消え、波の音だけになる演出が泣ける……。
エンディング:救いの後の裏切り
和菓子屋の再生はSNSでバズり大成功――と思った矢先、グロッタが健二を処刑。
憎しみの連鎖を断ったはずの絆斗の決断が、無情にも踏みにじられます。
このラスト、思わず声が出ました。
健二が粉砕される瞬間、光の当たり方まで冷たくて、「ガヴ」後半戦の容赦なさを再確認。
総評:憎しみを超えた先に
絆斗の成長物語として、今週は圧倒的に見応えがありました。
憎しみを抱きながらもそれを“終わらせる”勇気――言うは易し、実行は地獄。
絆斗の選択をあっさり踏み潰す脚本は残酷ですが、その分「憎しみの向こう側」に何が待つのか、次回への期待値は跳ね上がりました。
そしてジープの黒ガヴ化は、“家族の歪んだ愛”というもう一つの憎しみの連鎖を象徴しています。
ショウマとジープの因縁がどう決着するのか、ラキアの毒と罪はどう清算されるのか――。
38話は、主要キャラがそれぞれ「許す/許さない」の境目で揺れる濃密な30分間でした。
個人的ベストシーンは、絆斗が寛人の頭に手を置くカット。
母を奪われた少年が、今度は“大人”として少年を守ろうとする構図に胸が熱くなりました。
来週、第39話は「怒りの果て、甘い涙」。
絆斗は健二の死をどう受け止めるのか?
そしてグロッタが次に狙う“裏切り者”は誰なのか?
憎しみの連鎖が新たな局面へ突入することは間違いありません。
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